アテンザ セダン/SKY-D(2.2L)
〔インプレッション〕(場所:袖ヶ浦フォレストレースウェイ)
ディーゼルと言えば・・・一昔前は「うるさい・固有振動・黒煙ガス・回らない・ローパワー」
といった、ネガティブイメージばかり・・・。唯一の利点は「燃費」ぐらいだった。
時代は変わり「省エネルギー・環境対策」と「技術革新・燃料品質向上」が見事にリンクし、
いまや欧州では新車販売台数の5割近くを占めるに至った。
さて、そのクリーンディーゼルとやら、サーキットランではいかに??
これが、ビックリ!!
黙ってドライブし、エンジンrpm計器がなければ!これがディーゼルと分からないかもしれない!
メーターを見やると、そこに5000rpmのレッドゾーンが記されている。それが、7000rpmという表示
ならば、ガソリンエンジンと分別つかないかもしれない。それほどなのだ。
2ステージターボとの相性も抜群。ゼロ加速から5000rpmまでフラットに立ち上がり、メーター針は
その5000rpmを越えてなお1500kgの車重をグイグイ引っ張るのだ。
完全にオレのディーゼルイメージは覆された。サーキットでも十二分なパフォーマンス。
さて、ハンドリングに話しをすすめよう。
ホイールベース2800を越えるFF4ドアセダン。そうそうハンドリングに期待は出来ない・・・。
結論から先に言おう。これも勝手なオレのイメージとなった!
リヤにディファレンシャルを持たないFF車のコーナリング初期に重要なのが、リヤタイヤの接地圧の
抜き具合なのだが、これが・・・いい!!!
サーキットタクシーをしている時の印象はなかなかリヤが動いてくれないな~ っと思っていた。
どうしても動こうとするリヤは荷重が載ったままで、フロントタイヤのスリップアングルだけが如実となる。
それもそのはず。後部座席に大人2名を載せて走れば相当どっしりとしたリヤ荷重となる。
全て、予想を大きく裏切らないピッチとロール量。でも、決して良くは曲がらない。
ところが・・・イベント後半、自分1人でコースインしたアウトラップ。
ターン4の中速コーナー進入でジワリとフロント荷重へ・・・。リヤタイヤの接地圧が柔らかく抜け
見事に鼻先はインへと姿勢を変えた。ステアリングはほぼゼロカウンター!!
「気に入ったぜ!!!アテンザ!!!!」
自分の掛けたブレーキとリリース具合によりリヤタイヤの接地圧が減り、フロントタイヤの面圧が向上。
「意のままに」そんな決まり文句のターンイン。勿論、DSC(ダイナミック・スタビリティコントロールシステム)
はOFFにしていたが、DSCやEBD(電子制御性動力配分システム)の不自然な介入も感じなかった。
マツダの目指す「モノ」の真髄をはっきりと確認できた瞬間でもあった。生き生きとしていて、それでいて
安っぽくない、上質コーナリング。
とかくレーシングドライバーはスポーツカーのハンドリングを望む生き物だ。
マツダアテンザというクルマは我々のような高みのハンドリングを欲しがる玄人にも納得してもらえる
逸品であろう。とことん真面目に、そして地味ながらハンドリングに取り組むマツダの姿勢を大いに評価したい。
砂子塾長