12月22日(土)に「Tetsuya Ota×GENROQ ENJOY&SAFETY DRIVING LESSON with Jaguar&Land Rover supported by出光」を開催しました。
今回は表題の通り、ジャガー&ランドローバージャパン様にご協賛いただき、かつハイエンド輸入車雑誌「GENROQ(ゲンロク)」とのコラボレーションが実現するなど、いつものドライビングレッスンとはまたひと味違う個性を持ち、とても内容の濃いものとなりました。
会場は袖ヶ浦フォレストレースウェイ。年末の忙しい時期にも関わらず、上は60代の方から、下は大学生まで、バラエティ豊かな54人にご参加いただき、おかげさまで満員御礼となりました。
今回、講師を務めたのは太田校長を始めとして、レーシングドライバーにして現在は富士スピードウェイの競技長をも務める山路慎一講師、そしてモータージャーナリストの斎藤慎輔講師。入門クラスの講師はカーライフジャーナリストのまるも亜希子インストラクターです。その他、GENROQのゲストとして、元レーシングドライバーにしてモータージャーナリストとしても幅広く活躍する佐藤久実さんがかけつけてくれました。さらにお馴染みレースクイーン藤崎理香さんもいて、会場を華やかにしてくれました。
さて、当日は残念ながら雨模様。しかし、朝から激しく降り続く雨にも関わらず、参加者のモチベーションは朝から高く、受付開始した8時30分にはもうたくさんの人と愛車でパドックが埋め尽くされていました。
イベントにやってきてくれた展示車、教習車も盛りだくさんです。事務局テント脇にはTEZZOでお馴染みのコンプリートカーたち(TEZZO875やアルファ156)が、そしてその横には威風堂々たるジャガーがズラリと。史上最速、最高出力550psを誇るジャガー「XKR-S」を筆頭に、XKR、XFR、そしてXJスーパースポーツなどXJ軍団も。総勢8台ものジャガーが並べられました。試乗会をおこなうレンジローバー・イヴォークの姿もあります。加えてこの日は、GENROQの誌面上で長期レポートをおこなっているクルマたちもやってきてくれました。ルノー・メガーヌRSにフェラーリ308、VWゴルフ・カブリオレ、珍しいところではアルテガGTというスポーツカーもいました。
さて、午前中。プロジェクターを使った講師陣による座学から始まります。その初発の太田校長の掛け声は
「モータースポーツの世界へようこそ!」
初めてこのレッスンに来られた方、そしてサーキット未経験の方などに、この言葉をかけるのは太田校長の信念です。
今回はウエットコンディションということがあって、初心者はもちろん、何度かサーキット経験のある方にとっても“怖さ”を感じたことでしょう。ですが、こういう日こそ、滑りやすく刻々と変化するタイヤのグリップ力をどう捉え、どう運転するか。理解が深まるのでむしろ好都合なのだそうです。
参加者のために太田校長は自らの体験談を交えながら、こんなことを言います。
・感覚派よりも理論派ドライバーであれ。
・安全マージンを削っても、タイムは削れない。危険なだけだ。
・運転が上手くなれば、速く、そして安全になる。
まずは、齋藤慎輔講師による基本講座です。齋藤講師はミニチュアカーを用いて分かりやすく、荷重移動のお話をしていただきました。
続いて山路講師です。実は山路講師、自他共に認める“説教好き”。それを活かして(?)とても役に立つ講座を開いてくれました。印象的な言葉はこれ。
「サーキットを全開で走るときに、まわりのライバル勝ちたいという気持ちは必要だけれど、同時に共に走る者同士、リスペクトしなければならない。お互いリスペクトしあえば接触や事故は起きない。これは一般道でも同じ。中にはモラルの欠けた運転をする人を見かけるかもしれないけれど、それを含めて交通社会をリスペクトする。そうすれば自然と交通事故も減るはずだ」
その後、再び太田校長による実践編に。速く走るためのライン取りの方法を中心に、先ほどの山路選手と同じようなリスペクトする方法論(抜かせ方、ラインをあけるなど)など、初心者から上級者までとても分かりやすく解説をしてくれました。
座学が終わると、続いてジャガー・ランドローバージャパン・マーケティング広報部、作田ディレクターよる新世代ジャガーの解説、その魅力をたっぷりと教えていただきました。伝統的な英国ブランドであるジャガー、その精神の核にあるのはレーシングスピリッツ。そして昨今、そうした熱い魂が宿るようなハイパフォーマンスモデルがたくさん登場しています。いわゆるジャガーのRモデルを中心に、その存在をよく理解することができました。
座学が終わると、そのままランチへ。丁寧でためになる座学にたっぷりと時間を費やしたせいか、ちょっぴり時間が足りなくなってきてトークショーこそ中止になりましたが、それでも美味しいランチを優雅にいただきました。
午後は、先導走行にスポーツ走行、そして恒例のスパタイGPへと移ります。
ちょうどお昼ごろにピークを迎えた雨も、少しづつですが弱まりはじめ、自然と士気があがります。でも寒さは相変わらず。みなさん、白い息を吐きながら、かじかんだ手で、愛車の最終チェック。そのかたわらで、この日の目玉のひとつである三菱ローザというマイクロバスを使った「三菱ふそうpresentsサーキットサファリファン」が開催されました。ただ、マイクロバスに子供たちを乗せてコースを回るだけではなく、バスと一緒に講師陣がドライブするジャガーを追い越していく。バスに乗る子供たちはちょっぴりレース気分が味わえたのではないか、と思います。
と、同時にまるも講師による入門クラスの講座。正しい運転姿勢など基本のレクチャーに始まり、普段、街中ではなかなか体験できない全開ブレーキング、スラローム走行。といった初心者に優しい内容で進んでいきました。
サーキットでのフリー走行は、時に水たまりのなかに突っ込んでいくような、大きな水しぶきをあげながら、元気いっぱいコースを駆け巡りました。
そして「スパタイGP」の開催です。排気量別に2つのクラスに分かれて、いざ走行へ。フリー走行形式によるタイムアタックが行われた後は、ST2000クラスから上位3名、ST3000クラスからは上位3名による、SSステージ(1台ずつ出走してのタイムアタック)です。ここでまた嬉しい特典が。スパタイ参加者達に、山路講師はこのコンディションを踏まえていろいろと役立つレクチャーをしてくれました。「水溜りにはナナメから突っ込むな」ということや「タイムアタックの心得」など、山路講師自らも過去にさんざんタイムアタック競技をしてきた経験を踏まえた貴重なお言葉です。
最後は太田校長によるデモランも行われ、実況中継や一緒に参加したメンバーたち、同伴者の皆さん、見学の皆さんの応援で盛り上がるなか、程よい緊迫感の中で闘いが繰り広げられました。
走行が終わり、続いて表彰式、終了式に移ります。今回、いつもイベントを支えてくださっている出光様やブリヂストン様をはじめとして、ジャガー&ランドローバージャパン様、Fiat Chrysler Japan様などからたくさんのプレゼントを頂きました。
GENROQ編集部からは、GENROQ1年間定期購読をプレゼントという嬉しいもの。フェラーリやポルシェ、ジャガーなどアッパークラスのマシンを飾り立てるだけではなく思いっきり走らせていた参加者5名に送られました。
そして今回、出光賞としてエンジンオイルをゲットしたのは、フィアット500 1.2 Sportで参加した稲葉選手。「今回のためにレーシングスーツを新調して参加した。本スクールは、レーシングスーツは義務ではないけれど、それでも用意してくれた心意気を評価したい。ドライバーの“安全”を最重要と考えるのがこのドライビングスクール。こういう姿勢を持つ方々が増えていって欲しいと思う」というのが授与理由となりました。
そして、講師陣と審査委員の協議により決められる審査員特別賞となるMVP POTENZA賞。ブリヂストンPOTENZA RE11Aが1セット1台分贈られるという嬉しい賞です。今回もどなたに授与するか、非常に迷ったそうです。栄冠を手にしたのは、スバル・レガシィ・ツーリングワゴンで2.0GT specBで参加した秋葉選手に。実は秋葉選手、バスドライバーというご職業を活かして、今回の「三菱ふそうpresentsサーキットサファリファン」のドライバーを率先して務めてくれました。大型を運転できる人間がいない事務局にとっての救世主。子供たちにサーキットを通じてクルマの魅力を伝えた功労をたたえての表彰となりました。
そして最後は、もはや恒例となった「リ・スタート」の大合唱!今回はしかも主賓を務めるTUBEのボーカル「前田亘輝氏」のコメント付き。前田さんがこの日のために、コメントムービーを用意してくれたのです。
というわけで参加者、スタッフ、講師陣、全員で大合唱して幕を閉じたのでした。
■スパタイGP参加選手の走行動画
フィアット500クラス優勝・高井選手(フィアット500 1.4)
■講師陣によるジャガーインプレッション
では最後に、この日ジャガーの最新スポーツモデルを思う存分走らせた講師陣の、ジャガーに対して感じたインプレッションをお届けしましょう。
「この日は大きな水たまりができるほどのヘビーウェット。そんなコンディションだから、ハイパワーFRマシンたるXKR-Sはそのジャジャ馬っぷりが顔を覗かせて、ひさしぶりに強烈な面白さを味わうことができたよ。自分のポリシーとしてどんなクルマでもトラコンをオフにすることにしているけれど、今回、最初はさすがにためらった。この悪いコンディションの中で一番乗りやすかったのは車両重量が重くて、かつホイールベースも長いXJだったかな。全体を通して、昔のジャガーのイメージはオトナっぽくて、ラグジュアリー性のみが強調されているかに見えていたけど、現代のジャガーはとんでもなく過激でやんちゃな性格が流れている。そういう最近のジャガーの方向性は“本物”という感じがしてとても面白い、そして嬉しいね」
○山路講師
「ジャガーっていうと普段はとてもラグジュアリーで、高級感が抜群。そんなイメージを持っていた。だけどこうしてサーキットに持ち込めばとんでもなくパワフルな性格で、それがとても楽しいということが分かった。今回、XKR-S(XKR)からXFR、XJまで全て揃った。いずれも車両重量やホイールベースなどパッケージングが違うわけだけど、でもドライバーに訴えるフィーリングはすべて共通。シャシーの剛性は高いけれど、そのシャシーに対しても、エンジンはとてもパワフル。国産車では味わえない独特の満足感が得られる、孤高の存在だと思った」
場所:袖ヶ浦フォレストレースウェイ
教習車両:ジャガーXJ XK XFシリーズ、レンジローバー・イヴォーク
協賛・協力:出光興産、ジャガー ランドローバージャパン、ブリヂストン、フィアット クライスラージャパン、三菱ふそうトラック・バス、三栄書房(GENROQ編集部)※敬称略