2013年2月2日(土)に「TETSUYA OTA×ホリデーオート サーキットミーティング with SUBARU supported by出光」を開催しました。
これまでに定期的に催している太田哲也と富士重工業(スバル)がタッグを組んだサーキットミーティング。今回は袖ヶ浦フォレストレースウェイを舞台として、自動車雑誌「ホリデーオート」にもご協力いただいての開催となりました。太田哲也を校長とする「太田哲也スポーツドライビングスクール」の基本的理念のひとつが「運転がうまければ安全につながる」です。スバルもまた「常に運転がうまくなるクルマをつくる。そしてクルマを極めれば安全につながる」という考え方を持っています。こうした方向性の一致によってコラボレーションが実現したのです。
今回の講師陣はまた豪華です。太田校長を筆頭に、世界中のラリーフィールドで活躍するプロドライバーの三好秀昌選手が駆けつけてくれました。入門クラスは今回、いつも講師を務めていただいているモータージャーナリストの斎藤慎介さんが担当しました。その他、スバルSTIでエンジニアとして活躍しスポーツドライビングに精通している森宏志さんにもご協力いただきました。STI(スバルテクニカインターナショナル)は、スバルのなかでアフターパーツ開発やモータースポーツへの参画をおこなっています。
そして、このイベントでお馴染みのレースクイーン藤崎理香さんもいて、空気を華やかに元気にしながらも司会進行を手伝ってくれました。
当日はしかし、朝からの大雨…。参加者の多くが利用する東京湾アクアラインもかなりの強風で、一時はどうなることかと思いましたが、参加者34名は朝から元気いっぱいの様子で集まってくれました。
今回のイベントにやってきてくれた展示車、教習車。その筆頭は教習車や同乗走行に使うBRZです。レッドにブルーにホワイトに、と各色揃いました。その中には、ノーマルよりもスポーティな雰囲気を放つ1台が。STIのアフターパーツがいろいろと装着されたコンプリートカーだそうです。スバルらしいWRブルー・マイカが似合っていて、とてもカッコいいですね。そして、他のスバル車もズラリと。発売間もない新型フォレスターに、7人乗りのスポーティなミニバン、エクシーガがやってきました。
さて、午前中。受付を終えると次は、主にプロジェクターを使って講師陣達による座学のスタートです。太田校長が参加者にかける、最初の声はこれ。
「モータースポーツの世界へようこそ!」
初めてこのレッスンに来られた方、そしてサーキット未経験の方などに、この言葉をかけるのは太田校長の信念です。その後、この日の概要について簡単な説明を。
「スバルさんとの開催は今回で4回目となりました。今回はより走ることを重視したプログラムにしました。同乗走行も全員が乗ってもらいたいと思っています。雨で路面が滑りやすくなっていますが、逆に前向きに考えて、運転を勉強するにはチャンスだと思ってください」
まずは斎藤講師による基礎講座です。
ミニチュアカーを用いてわかりやすく、荷重移動について教えていただきました。特に今回、斎藤講師は入門クラスを担当します。入門クラスに設定された「荷重をかけたブレーキングと、それを含めたスラローム走行」を重ねることで、荷重の有無による変化を感じ取って欲しいということです。
続いて太田校長による実践編に移ります。
今まで常に述べてきたような
・感覚派よりも理論派ドライバーであれ。
・安全マージンを削っても、タイムは削れない。危険なだけだ。
・運転が上手くなれば、速く、そして安全になる。
という、常に伝えていることを含めて、さらに今回は、
・サーキットでも公道でも、常に相手(車両)をリスペクトすべき。
・そのためには必ず後ろ、横を見る。リスクを削る。
ということを丁寧に説明してくれました。
座学に続いて、今度は三好選手のトークショーが開催されました。
三好選手は1995年にインプレッサ(インプレッサ555)でサファリラリーに参戦するなど、スバルには特別な思いを持つラリードライバーです。この日は道なき道を疾走する海外ラリーでの“特殊な”経験を教えていただきました。海外のラリーを、映像で見ているととても過酷で危険。ドライバーはさぞかし熱くなっていると思いきや、意外と冷静に走っているそうです。
「いかなるコンディションでも完走することが大事。コ・ドライバーやペースノートもあるので、けっこう冷静に判断している。ヘタに熱くなってしまえば、危険だし、それで命を落とすことにもなりかねない」
さらに、直前の雨など天候の変化でコースライン自体が変わってしまうことや、走っていて動物とぶつかりそうになったこと。ジンバブエの国で体験した「ハイパーインフレ」など、我々が絶対に体験できないような面白いエピソードがテンコ盛りで、つい聞き入ってしまいました。
その後、今度はスバルSTI、森さんよりスバルのクルマとSTIについて話していただきました。
「スバルは常に楽しく安全なクルマをつくっていこうと思っています。楽しくて安全であれば、みんなもっと運転が好きになるし、交通安全にも貢献します」
「STIというのは、そうしたスバル車に対して、さらに走る楽しみ、歓びをもたらすクルマを目指して開発しています」
その後、この日持ち込んでくれたBRZのSTIコンプリートに装着されているパーツについて、ひととおり説明していただきました。
さて、座学とトークショーが終わると、今度はランチへ。その前にみんなで記念撮影をしてからレストランへと。ランチの間は「ホリデーオート編集部」の皆さんによるトークショーを聞きながらとなりました。トークショーの内容は自動車雑誌編集者という仕事と、雑誌ができるまでの「苦悩と歓び?」を、面白おかしく話していただきました。
午後は、先導走行にスポーツ走行、そしてスパタイGPと進行します。だんだんと雨も上がりはじめ、それに比例してモチベーションが高まっていっています。
コースでのスケジュール進行と同時にパドックでは、斎藤講師による入門クラスが行われました。パドックにパイロンを置いてコースをつくり、ブレーキングによって荷重が変化したら、それがどこまで旋回性能に影響を及ぼすか。という点を、頭ばかりではなく身体にたたき込めるように、時間にゆとりを設けて何度も練習させてくれました。参加者もだんだんとコツを掴んできたようでした。
コースでは走行時間に合間を設けて、講師陣による簡単なレクチャーがおこなわれました。走行の合間にクールダウンする意味でもいいですね。内容を抜粋すると「こういうサーキット走行ではトラクションコントロールなど電子デバイスを切るべきか?」「サーキットでの空気圧設定の考え方」「袖ヶ浦のコースのライン取り」など、参加者からポンポンと出る質問に、ひとつずつ答えてくれました。
そして、座学およびフリー走行で得た知識と経験をもとに、恒例「スパタイGP」の開催です。排気量別に2つのクラスに分かれて走行へ。フリー走行によるタイムアタックが行われた後は、ST2000、ST3000、スバルクラス、アルファロメオクラス、フィアットクラスそれぞれのクラスからの、上位者によるSSステージ(1台ずつ出走してのタイムアタック)です。
最後は太田校長をはじめ講師陣によるデモランと、同時にスバル・フォレスターや、エクシーガ使ったサーキットサファリがおこなわれました。間近でBRZがドリフトしながら駆け抜けていく光景を見て、コース内に初めて入った同乗者は興奮抑えきれない、といった感じで進行していきました。
走行が終わり、続いて表彰式、終了式に移ります。今回、いつもイベントを支えてくださっている出光様やブリヂストン様をはじめとして、富士重工業様、Fiat Chrysler Japan様、三菱ふそう様などからたくさんのプレゼントを頂きました。
今回、出光オイル賞としてエンジンオイルをゲットしたのは、スバルBRZで体験クラスに参加した小川選手。今回を機に「普段、影に隠れながら我々のカーライフを支えてくれているエンジンオイルの大切さを、改めてみなさまにお伝えしたい」という意味を込めました。
そして、講師陣と審査委員の協議により決められる審査員特別賞となるMVP POTENZA賞。ブリヂストン POTENZA RE-11Aが1セット1台分贈られるという豪華なもの。今回、授与されたのは宮城県石巻市から参加してくれた滝選手。クルマはスバル インプレッサ WRX STI 2.0TBで、奇しくも森さんが開発を担当された車種でした。
「例の東日本大震災によって被災をしました。現在、我々の生活エリアは少しずつですが復興をはじめています。今回、ご支援や応援を通して、我々を支えてくださった皆様へ御礼を込めて参加させて頂きました」とのコメントを頂きました。
授与理由は「こうした苦労を乗り越えも、もう一度クルマを楽しみたいと思い、それを実践している」とい部分に敬意を込め、さらには「復興ままならない被災地の状況を我々は忘れてはいけない」という直接被災しなかった人達へのメッセージを込めての授与となりました。
最後は太田校長を筆頭に、講師陣による総括で締めくくったのでした。